石川県立伝統産業工芸館

石川県立伝統産業工芸館には、石川県の伝統的な36種類の伝統工芸品が展示されている。

ここでは、36種類のうち、目についた下記13種類の工芸品について紹介したい。

加賀繍、加賀友禅、牛首紬、山中漆器、大樋焼、九谷焼、輪島塗、桐工芸、金沢箔、七尾和ろうそく、加賀竿、金沢仏壇、金沢和傘

石川県立伝統産業工芸館の場所

石川県立伝統産業工芸館の兼六園入口

石川県立伝統産業工芸館は、兼六園の小立野口の隣にあり、兼六園の中からも兼六園の外からも行ける観光スポットだ。

兼六園の中から、石川県立伝統産業工芸館に行くときは、この看板が目印だ。

1階の受付

石川県立伝統産業工芸館の一階

石川県立伝統産業工芸館の1階は、受付になっていて、ここで入館料金を払う。

65才以上は200円、18才以上は260円、6才~17才は100円、0才~5才は無料だ。

「兼六園プラス1チケット」を使うと、兼六園と工芸館がセットで500円(別々に買うより70円お得)になるので、購入をお勧めしたい。

受付の後ろは、販売コーナーになっていて、伝統工芸品の購入ができる。

2階の展示フロア

石川県立伝統産業工芸館の2階

石川県立伝統産業工芸館の2階には、36種類の伝統工芸品が、それぞれ2つから4つほど展示されている。

これまで石川県立伝統産業工芸館に3回ほど行っているのだが、見たところ女性の観光客が多い印象だ。

加賀繍(かがぬい)

加賀ぬい

加賀ぬいは、もともとは、仏様の姿を糸で表す繍仏(しゅうぶつ)から始まった。

加賀ぬいでは、金や銀など100種類もの糸を使用し、当時は藩主の羽織(はおり)や、奥方様の着物などに使われたようだ。

加賀ぬい

バッグや小物入れなど、可愛らしくエレガントなザインが多い。

加賀友禅(かがゆうぜん)

加賀友禅

加賀友禅は、布に模様を染める技法のひとつだ。

加賀友禅は、金沢生まれの有名な絵師で、加賀友禅を作った宮崎友禅(みやざきゆうぜん)の名前から付けられた。

加賀友禅

加賀友禅は、加賀五彩といわれる、藍(あい)、臙脂(えんじ)、草、黄土、古代紫、の5つの色を使い、落ち着いた色合いが特徴だ。

加賀友禅は、私のような一般人には縁遠い、気品の高さを感じられる工芸品だ。

牛首紬(うしくびつむぎ)

牛首紬

牛首紬は、生産地である牛首村(現在の石川県白山市白峰)という地名に由来する。

釘に引っかけても釘の方が抜ける、と言われるほど丈夫なことから「釘抜紬(くぎぬきつむぎ)」とも呼ばれているのだ。

牛首紬

牛首紬は、丈夫な割にはお洒落な感じで、デザインはクラシックな感じだ。

山中漆器(やまなかしっき)

山中漆器

漆器を作るときは、まず木を削り、次に漆(うるし)を塗り、そして装飾をする。

山中漆器は、一番初めの工程である、轆轤(ろくろ)を使った木を削る工程に特徴があるのだ。

木地をろくろに固定させ、様々な模様に木を削るのだが、山中漆器は、ものすごく薄く細い筋を入れていくのが特徴だ。

山中漆器

山中漆器は、光沢があり、気品に満ちたとても美しい漆器だ。

大樋焼(おおひやき)

大樋焼

大樋焼は、1666年(寛文6年)、5代藩主綱紀が、お茶の文化を広めようと、京都から裏千家四世を招いたのが始まりだ。

大樋焼

大樋焼はろくろを使わず、手とヘラによって一つひとつ丁寧に作られているのが特徴だ。

九谷焼(くたにやき)

九谷焼

九谷焼は、後藤才次郎(ごとうさいじろう)が、加賀藩の命令によって、九谷村(石川県加賀市)で開壺したのがはじまりだ。

九谷焼

九谷焼は、青、緑、黄などの濃い色を主に使い、あざやかな色使いが特徴的だ。

輪島塗(わじまぬり)

輪島塗

輪島塗は、石川県輪島市で作られている漆器だ。

とても丈夫で、金粉や銀粉を使った美しい装飾が特徴だ。

この展示品は、美しく気品がある輪島塗だが、36万円する高価なものだ。

輪島塗

これは15万円する茶箱で、いかにも高価そうなで、気品に満ちた輪島塗だ。

桐工芸(きりこうげい)

桐工芸

桐工芸は、名前の通り、桐の木から作る工芸品だ。

桐工芸は、木の表面に、美しい蒔絵(まきえ)(漆で絵や文字を書き、金粉や銀粉なとで固める技法)がされているのが特徴だ。

桐工芸

桐工芸では、木の模様をうまく生かした装飾がされているのだ。

金沢箔(かなざわはく)

金沢箔

日本にある金箔は、ほぼ100%、金沢でつくられている。

金沢箔は、職人が一つ一つ丁寧に作り、品質が高く、美しいのが、特徴的だ。

金沢箔

金箔が使われていると、より豪華に見えるから不思議なものだ。

七尾和ろうそく

七尾和ろうそく

ろうそくは仏教の普及とともに、仏壇に使う灯りとして広まったものと言われている。

植物由来の原料を使った七尾和ろうそくは、安定した美しい光が特徴だ。

可愛らしくオシャレなデザインのろうそくだ。

加賀竿(かがさお)

加賀竿

江戸時代に、加賀藩が、藩士の鍛錬のため釣りを奨励していたのが始まりだ。

加賀竿は、竹を高温加熱し、漆で補強した頑丈さが特徴だ。

金沢仏壇

金沢仏壇

金沢仏壇は、一向一揆時代の信仰と加賀百万石の豊かな文化を象徴する仏壇だ。

金澤仏壇は、上品な蒔絵(まきえ)が特徴で、金糸の刺繍がされ、象牙(ぞうげ)や象嵌(ぞうがん)、金箔がふんだんに使われ、とても豪華な仏壇だ。

金沢和傘

金沢和傘

石川県立伝統産業工芸館の展示フロアの中でも、ひと際目立つのがこの金沢和傘だ。

金沢和傘は、傘の柄(え)(傘を持つ棒の部分)に日本で採れる孟宗竹(モウソウチク)を使い、生地には4重に張った和紙を使い、丈夫なのが特徴だ。

金沢和傘

鮮やかなデザインと色合い、和を感じられる和傘はやはり素敵だ。

最後に:
石川県は、第二次世界大戦で、米軍の空襲をほとんど受けていないため、昔からの文化がそのまま残っているのが特徴だ。

石川県立伝統産業工芸館は、伝統工芸品を通じて、信仰と加賀百万石で栄えた石川県の文化を、垣間見れるお勧めの場所だ。

現地取材:
石川県立伝統産業工芸館、2018年10月20日、2018年11月24日、2018年12月1日
参考文献:
石川県立伝統産業工芸館、「伝統工芸36業種」
http://www.ishikawa-densankan.jp/craft/index.html
日本伝統文化スタイル、「輪島塗・山中漆器の特徴と歴史」
https://j-tradition.com/lacquer/wajima.html
桃蹊、「大樋焼 ~歴史と手法 伝統工芸 石川県~」
http://art-toukei.com/2017/06/02/oohiyaki-traditional-art-crafts-ishikawa-kanazawa/
石川県中小企業団体中央会、「七尾和ろうそく」
http://www.icnet.or.jp/dentou/rare/18.html